バックナンバー

コラム本文

2024年上半期連載コラム [学問とAI] の種明かし(2024.07)

2024.07.11 コーディネーター

今年の1月から半年間、続きました校閲者W.Mの連載コラム、実は途中から日本語訳をAIが担当しておりました。

皆様は気付きましたか?

W.Mもコラム内で申しております通り、AIだけの力では未だ及ばぬところも多々あります。AIの翻訳も素晴らしいものでしたが、では、人間の翻訳はいかがなものか?ぜひ、弊社の翻訳者A.Nによる最終章の翻訳をご覧ください。

今後もご依頼時にAIx人力翻訳とするか、人力のみの翻訳とするか、ご検討時のサンプルとしていただけますと幸いでございます。

================

学術プロセスの合理化におけるAIの活用

以前の記事では、特定の学術分野においてAIが果たす役割についてみてきました。最終回となる今回は、あらゆる分野の研究機関に共通する学術プロセスのサポートに対してAIがどのように活用できるか、その可能性について概説したいと思います。

採用活動の合理化:AIの活用により、研究職ポジションの人材を募集する際の履歴書の選別や面接の日程調整といった作業を自動化することができますし、また研究者の業績データや論文を分析することで、新規プロジェクトの候補者選定も可能です。立場を変えると、就職活動中の研究者は、比較的簡便なAIツールを活用することで、自身のキャリア目標や研究者自身のスキルセット(スキル、能力、経験)に合致する雇用候補を見つけることができます。

研究費申請書の作成支援と進捗管理: AIは過去に研究費獲得に成功した申請書を分析し、重要なポイントや書き方を抽出することができます。研究者はこれらを活用して、アウトラインの作成、関連した文献の提案、第一段階の草案作成まで行うことができます。さらに、AIを搭載したデジタルダッシュボードは、進行中の研究課題の進捗状況を追跡し、マイルストーンや以降の期限を強調して表示することで、適時遂行と期限遵守を確実にします。

需要予測と在庫管理:過去の発注パターンや研究プロジェクトのスケジュールをAIで分析することにより、研究機関の購入担当者が将来の物品需要を予測する際に役立ちます。これにより先手を打った発注が可能になり、発注の遅れを減らし、在庫切れを防ぐことができます。また、AIは在庫量を最適化し、保管費用を最小限に抑え、研究者が必要な時に必要な材料を確保することができます。さらに、AIは頻繁に再注文される品目を特定して大量購入を提案することで、コスト削減も可能になります。

このようにAIには明確な利点がありますが、重要なサポート分野に対してはAIを導入する前にその限界を認識しなければなりません。

創造性と独創性: AIにとって、真の創造性や既成概念にとらわれない思考を必要とする仕事は苦手と言えます。多くの場合、研究費申請では斬新な研究アイデアや革新的な方法論が鍵となりますが、この点はAIでは代替できないものでしょう。説得力のあるストーリーを作り上げ、申請研究の意義を納得させるためには、人間の専門知識が不可欠であることに変わりはありません。

倫理的配慮: 万が一、AIのアルゴリズムに偏りがあると、不公平な雇用慣行や偏った研究費審査につながる可能性があります。こういったAIがもつ限界を研究者は認識した上で、AIツールが公正中立、かつ倫理にかなっていることを慎重に吟味する必要があります。また、研究費申請者が申請の補助に使用する場合は、提出前にAIが生成した文章を確認、修正し、自身の研究に合うように調整する手順を確実に踏まなければなりません。そうでなければ、盗作者というレッテルを貼られる危険性があります。

結局のところ、AIは人間の研究者に取って代わるものではなく、あくまでも研究者に役立つ貴重なツールと見なされるべきです。管理業務や初期指導にAIの長所を活用することで、研究者は時間と精神的余裕を確保し、研究の核心部分である画期的なアイデアの着想や緻密な調査に集中して取り組むことができるのです。

お問合せ・お見積り・ご発注