論文の第一印象を決めるAbstract ― Abstractだけの英文校閲も承ります
研究成果の"顔"としてのAbstract
研究成果を世界へ発信するうえで、多くの研究者が最も時間をかけて執筆するのが本文です。実験データの解釈、先行研究との比較、考察の組み立て―本文には研究者の思考のすべてが凝縮されており、その完成度こそが論文の価値を決めると考えられがちです。
しかし、実際に最初に読まれるのは本文ではありません。
査読者、研究者、学会参加者、そしてデータベース上で論文を検索する読者の多くが、最初に目を通すのは Abstract(要旨) です。PubMedやGoogle Scholarで検索した際に画面に表示されるのもAbstractであり、全文をダウンロードするかどうか、学会で発表を聞きに行くかどうかを判断する材料となるのも、このわずか数百語の文章なのです。
つまりAbstractは、読者に「この論文を読んでみたい」「この発表を聞いてみたい」と思ってもらうための、いわば論文の"顔"ともいえる存在です。どれほど優れた研究であっても、Abstractの段階で読者の関心を掴めなければ、本文が読まれる機会そのものが失われてしまいます。
NAIシニアエディターが語る「良いAbstract」の条件
その重要性について、NAIシニアエディターの一人G.Pが2016年のコラムで次のように述べています。
Writing a good abstract
First — read the instructions to authors!
This may sound obvious, but…… Abstracts for both papers and conferences may differ quite markedly in style and length and must be constructed according to the instructions.
Having said that, all Abstracts should include four parts: introduction, methods, results and conclusions. These must be labelled as such if the instructions require a structured Abstract, as is sometimes the case, but it is a good idea to present the Abstract in this manner even if this is not formally required.
The introduction, or background, should provide a brief description of the context for the work to be presented, followed by the research question posed and investigated, or the rationale for the study or trial. The methods should describe how the work was done and the results should clearly state the outcome, the level of detail depending on the space available and the nature of the subject matter. Finally, there should be a concluding sentence which avoids repeating the results but provides an interpretation of the results and an indication of their importance.
Let us be clear — a good abstract is never easy to write and requires very clearly describing what was done and why it was done, and why the reader should be interested in the full content of the paper or the presentation. Verbosity must be avoided at all costs, and language as clear and simple as possible should be used. Jargon should be avoided as far as possible and the use of unusual abbreviations minimized.
It goes without saying that the quality of the English language must be excellent, because if the Abstract is hard to understand for that reason, the paper will not be downloaded and read, or the conference presentation will be avoided. For this reason, NAI offers editing services which not only correct the English grammar, but also employs professional scientists to consider the content of the Abstract in the light of the content of the paper or presentation itself, and able to advise accordingly on how to improve the impact of the Abstract.
(日本語訳)
優れた要旨の執筆について―まず、投稿規程をよくお読みください!当たり前のように聞こえるかもしれませんが、論文と学会発表の要旨は、スタイルや長さにおいてかなり異なる場合があり、投稿規定に従って作成する必要があります。
とはいえ、すべての要旨には以下の4つの部分を含めるべきです。すなわち、導入部、方法、結果、結論です。指示書で構造化要旨が求められている場合(時折見られるケースです)は、各項目を明示的にラベル付けする必要があります。ただし、形式的に要求されていなくても、この形式で要旨を提示することは良い方法です。
導入部(背景)では、提示する研究の文脈を簡潔に説明し、続いて研究課題と調査内容、あるいは研究や試験の根拠を述べるべきです。方法では研究の実施方法を記述し、結果では成果を明確に述べます。詳細度はスペースの制約と主題の性質に応じて調整してください。最後に、結果の繰り返しを避けつつ、結果の解釈とその重要性を示す総括文を記載します。
明確に申し上げますと、優れた要旨の作成は決して容易ではなく、実施内容とその目的、さらに読者が論文全文や発表内容に関心を持つべき理由を極めて明瞭に記述する必要があります。冗長性は絶対に避け、可能な限り明快で簡潔な言語を使用すべきです。専門用語は極力控え、特殊な略語の使用も最小限に抑えることが求められます。
言うまでもなく、英語の品質は卓越している必要があります。なぜなら、その理由で要旨が理解しにくい場合、論文はダウンロードされず読まれないか、学会での発表は避けられることになるからです。このため、NAIでは英文の文法修正だけでなく、専門の科学者が論文や発表内容そのものを踏まえ、要旨の内容を検討し、要旨のインパクトを高めるための改善策を適切に提案できる校閲サービスを提供しております。
Abstractは「短い文章」だからこそ難しい
G.Pが述べているように、優れたAbstractには、
- 研究の背景(なぜこの研究が必要だったのか)
- 研究方法(どのようにアプローチしたのか)
- 結果(何が明らかになったのか)
- 結論(それが何を意味するのか)
という4つの要素を、限られた文字数の中で分かりやすく伝える必要があります。一般的にAbstractは150~300語程度、長くても400語程度に収める必要があり、そのなかに研究のすべてのエッセンスを凝縮しなければなりません。
短い文章だから簡単なのではありません。むしろその逆で、必要な情報だけを過不足なく盛り込み、それでいて読者の興味を引く文章に仕上げることが求められるため、実は本文以上に難しいと感じる研究者も少なくないのです。本文であれば「詳しくは次の段落で説明する」といった余裕がありますが、Abstractにはその余裕がありません。一文一文が勝負であり、無駄な単語を削ぎ落とす作業が続きます。
また、投稿先のジャーナルや学会によって、文字数、構成、記載方法、さらには使用できる略語の範囲まで細かく規定されていることがあります。構造化要旨(Structured Abstract)を求めるジャーナルもあれば、一段落で書くことを求めるジャーナルもあり、それぞれの投稿規程に沿った表現に仕上げることも極めて重要です。同じ研究内容でも、投稿先が変われば書き方も変わる――これがAbstract執筆の難しさを一層際立たせています。
「Abstractだけ校閲したい」というご相談も増えています
近年、NAIには次のようなご相談をいただくことが増えています。
- 「まずは学会抄録だけ確認してほしい」
- 「投稿前にAbstractだけでも自然な英語にしたい」
- 「限られた予算の中で、まずは要旨をブラッシュアップしたい」
- 「本文は自分でもう一度見直すので、Abstractだけプロの目で見てほしい」
- 「アクセプト後にAbstractだけ修正の指示が来たので、その部分だけ対応してほしい」
こうしたお声を受けて、NAIでは論文全体だけでなく、Abstractのみの英文校閲にも柔軟に対応しております。
Abstractのみの校閲であっても、単に英文の文法や表現を整えるだけではありません。研究内容が正しく伝わるか、論理の流れに飛躍がないか、読者に伝わりやすい構成になっているか、そして投稿先の規程に沿っているか――こうした複数の視点からきめ細やかに校閲を行います。
専門分野に精通した校閲者が担当することで、単なる語学的な修正にとどまらず、研究の価値を最大限に伝えるための表現へと磨き上げていきます。
Abstractから、研究の価値を正しく伝えるために
Abstractは、多くの場合、読者が最初に触れる研究成果です。そしてその印象が、論文全体の評価や、その後の引用数、さらには研究者としての評価にまで影響を及ぼすこともあります。
だからこそ、「伝わるAbstract」であることが、その後の論文の評価や閲覧、そして研究成果の広がりにつながる、極めて重要な第一歩になるのです。
NAIでは、研究者の皆様が長い時間をかけて積み重ねてこられた成果を、限られた文字数の中でも最大限伝えられるよう、Abstractのみの英文校閲サービスもご提供しています。学会抄録の締め切りが迫っている場合、論文投稿直前の最終チェックが必要な場合、あるいはリバイズ対応でAbstractのみ修正が必要になった場合など、さまざまな場面でお役立ていただけます。
学会抄録や論文投稿をご予定の際は、ぜひお気軽にご相談ください。皆様の研究成果が、世界の読者に正しく、そして魅力的に届くよう、NAIが全力でサポートいたします。
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