査読者から「説明不足」と指摘された場合のResponse Letterと論文本文修正の考え方

論文の査読で、「説明が不十分」「より詳しい説明が必要」といったコメントを受けることがあります。

著者としては十分に説明したつもりでも、査読者には研究の意図や方法、結果の意味が十分に伝わっていないことがあります。このような場合、Response Letterで補足説明をするだけでよいのでしょうか。それとも、論文本文も修正する必要があるのでしょうか。

基本的には、査読者に伝わらなかった点は、ほかの読者にも伝わりにくい可能性があります。そのため、Response Letterで回答すると同時に、必要に応じて本文の記述も見直すことが重要です。

「説明不足」の指摘は、まず原因を考える

査読者から説明不足を指摘されたとき、単純にその文章を追加すれば解決するとは限りません。

たとえば、研究方法について “Please provide more details...” とコメントされた場合でも、査読者が知りたいのは実験手順そのものとは限りません。対象者の選定基準が分からない、解析方法を選んだ理由が分からない、再現に必要な情報が不足している、といった可能性があります。

まずはコメントの内容や前後の文脈から、査読者が「何を理解できなかったのか」を考えてみましょう。

原因が分からないまま説明を追加すると、査読者の疑問に答えないまま、本文だけが長くなってしまうこともあります。

Response Letterでは「どこをどう直したか」を明確に

指摘を受けて本文を修正した場合、Response Letterでは単に、

We have revised the manuscript accordingly.

(ご指摘に従って原稿を修正しました。)

だけで終わらせるより、何を修正したのかを具体的に示した方が、査読者に伝わりやすくなります。

たとえば、

Thank you for pointing this out. We have added further details regarding the participant selection criteria in the Methods section.

(ご指摘ありがとうございます。Methodsセクションに、参加者の選定基準に関する詳細な説明を追加しました。)

とすれば、自分のコメントがどのように原稿へ反映されたのかを査読者が把握しやすくなります。

ジャーナルの指示に従い、修正箇所のページ番号や行番号を示したり、変更した文章をResponse Letter内に記載したりしてもわかりやすくなります。

査読者が「誤解している」と感じた場合は?

「本文ですでに説明しているのに、なぜ説明不足と言われるのだろう」と感じる指摘を受けることもあります。

しかし、このような場合も本文を読み直してみることが重要です。必要な情報が書かれていても、
記載場所が分かりにくかったり、前後の論理関係が明確でなかったりするために、著者の意図が十分に伝わっていない可能性があるからです。

Response Letterでは、たとえば、

We apologize that this point was not sufficiently clear in the original manuscript. We have revised the relevant section to clarify that …

(この点について、元の原稿で十分に明確に説明できていなかったことをお詫びいたします。……という点が明確になるよう、該当箇所を修正しました。)

などと回答できます。

「査読者がきちんと読み解いていない」と考えるだけで終わらせず、なぜそのように読まれたのかを確認してみましょう。
査読者に伝わりにくかった箇所は、ほかの読者にも同様に伝わりにくい可能性があります。

Response Letterだけで説明して終わらせない

査読対応で注意したいのが、査読者への詳しい説明をResponse Letterに書いたことで、問題を解決したと考えてしまうことです。

Response Letterは基本的に査読者や編集者に向けた文書です。一方、最終的な論文を読む読者が、そのやり取りを目にするとは限りません。

たとえばResponse Letterに、

The reason we used this method was …

と詳しく説明したのであれば、その理由が論文を理解するうえでも必要な情報かどうかを考えてみましょう。
読者にも必要な説明であれば、Response Letterだけでなく本文にも反映する必要があります。

「査読者への回答として十分か」と「修正後の論文だけを読んでも理解できるか」は、別々に確認することが大切です。

文章を増やせば「分かりやすくなる」とは限らない

説明不足を指摘されると、つい情報を追加することに意識が向きます。しかし、問題が文章量ではなく、表現や構成にある場合もあります。

一文が長すぎる、主語と述語の関係が分かりにくい、重要な情報が段落の中に埋もれている、前の文とのつながりが曖昧
こうした英文では、必要な情報が書かれていても、「説明が不十分」と受け取られることがあります。

その場合に必要なのは情報を増やすことではなく、既存の文章を整理し、研究内容が読み手に正確に伝わる形にすることです。

査読対応では「正しい英語」だけでなく「伝わる英語」を

AIを使えば、査読コメントへの回答文を作成したり、追加した英文の文法を確認したりすることは比較的簡単になりました。

一方で、

「査読者の疑問にきちんと答えているか」

「Response Letterと修正本文の内容が一致しているか」

「説明を追加したことで、かえって分かりにくくなっていないか」

といった点は、回答文だけではなく、原稿全体との関係を見ながら確認する必要があります。

NAIでは、論文本文の英文校閲に加え、査読コメントへの回答など、Revisionに伴う英文についてもご相談いただけます。

査読を受けて文章を追加・修正した場合には、文法的に正しい英文になっているかだけでなく、
著者が伝えたい内容が読み手に正確に伝わるかを確認することも重要です。

「説明不足」という査読コメントは、単に文章を増やすよう求めているとは限りません。

査読者がどこで理解につまずいたのかを考える。Response Letterでその疑問に回答する。
そして、読者にも必要な情報であれば本文にも反映する。

このように考えることで、査読コメントへの対応だけでなく、最終的な論文そのものをより分かりやすくすることにつながります。

査読者のコメントの意図が分からない場合や、どのように対応すればよいか迷った場合も、お気軽にNAIへご相談ください。

NAIの校閲者が査読コメントを確認し、対応方法についてアドバイスいたします。NAIで校閲していない原稿でも対応可能です。