「ジャーナルの投稿規定に合わせてWordを設定したはずなのに、なぜかインデントがずれてしまう」
「一つの段落を直したら、別のところまで書式がおかしくなった」
「リバイスで文章を追加したら、行間や字下げがバラバラになってしまった」
論文をWordで作成している研究者の中には、このような経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
論文を投稿する際には、ジャーナルごとにフォント、文字サイズ、行間、余白、インデント、ページ番号、行番号など、さまざまな書式が指定されています。
そのため、投稿先が変わるたびにWordの設定を一つずつ変更していると、かなりの時間がかかります。
しかも、文章を追加・削除したり、別のWordファイルから文章をコピーしたりすると、せっかく設定した書式が崩れてしまうこともあります。
そこで活用したいのが、Microsoft Wordの「スタイル」機能です。
スタイルを一度設定しておけば、論文の本文や見出しなどに同じ書式を簡単に適用できます。
さらに、後から書式を変更したい場合も、スタイルそのものを変更することで、同じスタイルを設定した箇所をまとめて変更できます。
この記事では、論文を作成するときに役立つWordのスタイル機能について、インデントや行間がずれてしまう原因から、具体的な設定方法、ジャーナルの投稿規定に合わせる際のポイントまで分かりやすく解説します。
論文のインデントが毎回ずれるのはなぜ?
まず、なぜ論文のインデントや段落設定はずれてしまうのでしょうか。
その大きな原因の一つが、段落ごとに手作業で書式を設定していることです。
例えば、本文の段落を字下げするために、
- スペースを何文字か入力する
- Tabキーを押す
- 「段落」設定からインデントを変更する
- 前の段落の書式をコピーする
といった方法を使っているとします。
その場ではきれいに見えても、文章を追加したり削除したりすると、書式が崩れることがあります。
また、別のWordファイルから文章をコピー&ペーストした際に、元の文書の書式まで一緒にコピーされてしまうこともあります。
その結果、
この段落だけインデントが違う
このページだけ行間が違う
見出しのフォントが一部だけ違う
といった問題が発生します。
論文のように何ページにもわたる文書では、こうした小さな書式の違いが積み重なり、最後にはかなりの修正作業が必要になることがあります。
「見た目を整える」のではなく「スタイルを設定する」
こうした問題を減らすために便利なのが、Wordのスタイルです。
スタイルとは、簡単にいうと、
「この種類の文章には、この書式を使う」
という設定をまとめて登録しておく機能です。
例えば、論文の本文について、
- フォント:Times New Roman
- サイズ:12 pt
- 行間:Double
- 1行目インデント:0.5 inch
- 段落前後:0 pt
という投稿規定があったとします。
これらを本文用のスタイルとして設定しておけば、本文の段落にそのスタイルを適用するだけで、毎回一つずつ設定する必要がなくなります。
つまり、
「この段落はTimes New Romanにして、12 ptにして、行間を設定して……」
と毎回考えるのではなく、
「本文スタイルを適用する」
だけで済むわけです。
Wordの「スタイル」は論文作成と相性がいい
論文では、本文だけでなくさまざまな種類の文章が登場します。
例えば、
- Title
- Abstract
- Introduction
- Methods
- Results
- Discussion
- Figure legend
- Table legend
- References
などです。
これらをすべて同じ書式にする必要はありません。
むしろ、ジャーナルによっては、それぞれに異なる書式が指定されていることがあります。
そこで、例えば次のようなスタイルを作っておくと便利です。
| スタイル | 使用する場所 |
| Title | 論文タイトル |
| Heading 1 | Introduction、Methodsなど |
| Body Text | 本文 |
| Figure Legend | Figure legend |
| Table Legend | Table legend |
| References | 参考文献 |
このように、文章の種類ごとにスタイルを分けるのがポイントです。
まずは「本文」のスタイルを作ってみよう
ここでは、本文のスタイルを例に考えてみましょう。
Wordの「スタイル」から本文用のスタイルを設定します。
例えば、
Body Text
というスタイルを作り、そこに、
- フォント
- フォントサイズ
- 行間
- 1行目のインデント
- 段落前後の間隔
などを設定します。
ここで重要なのが、インデントをスペースで作らないことです。
例えば、
The results showed that...
のように、文章の前にスペースを何個も入れて字下げする方法は避けたほうがよいでしょう。
また、Tabキーを何回も押して位置を調整する方法も、論文全体の書式を管理する方法としてはおすすめできません。
Wordの「段落」設定から1行目のインデントを設定しておけば、段落そのものに字下げの情報を持たせることができます。
これなら、文章の長さが変わっても基本的に同じ設定を維持できます。
「1行目インデント」と「左インデント」は違う
論文の書式設定で混乱しやすいのが、インデントの種類です。
例えば、
1行目インデント
段落の最初の行だけを右にずらします。
The results showed that the treatment significantly
increased the expression level of the target gene.
左インデント
段落全体を右にずらします。
The results showed that the treatment significantly
increased the expression level of the target gene.
この2つは似ていますが、意味が異なります。
ジャーナルの投稿規定で「first-line indentation」などと指定されている場合は、1行目インデントを設定する必要があります。
ただし、すべてのジャーナルが1行目インデントを要求しているわけではありません。
「論文だから0.5 inch」と決めつけるのではなく、投稿先ジャーナルの最新のInstruction for Authorsを確認してから設定することが大切です。
見出しもスタイルに登録する
本文だけでなく、見出しもスタイルを利用すると便利です。
例えば、
Introduction
Materials and Methods
Results
Discussion
などの見出しに「Heading 1」を設定します。
すると、見出しのフォントやサイズ、太字、段落間隔などを統一できます。
さらに便利なのが、後から見出しの書式を変更できることです。
例えば、
「見出しは太字ではなくRegularにする」
ということになった場合、見出しを一つずつ修正する必要はありません。
Heading 1のスタイルを変更するだけで、同じスタイルを適用した見出しをまとめて変更できます。
ジャーナルごとの「論文テンプレート」を作ってしまう
ここまで設定したら、さらに一歩進めて、ジャーナルごとのWordテンプレートを作っておくのもおすすめです。
例えば、
- Journal A用
- Journal B用
- Journal C用
というように、よく投稿するジャーナルごとにテンプレートを作ります。
Journal Aの投稿規定に合わせて、
Body Text
Heading 1
Figure Legend
References
などのスタイルを登録しておきます。
次回Journal Aに投稿するときは、そのテンプレートを使って論文を書き始めればよいわけです。
毎回ゼロから書式を設定する必要がなくなります。
投稿規定が変わってもスタイルなら修正しやすい
スタイルを利用するもう一つのメリットが、後から書式を変更しやすいことです。
例えば、本文のフォントサイズを12 ptから11 ptに変更する必要が出てきたとします。
手作業で設定している場合、論文全体を確認しながら変更しなければならないかもしれません。
しかし、本文がすべて「Body Text」というスタイルで統一されていれば、Body Textの設定を変更することで対応できます。
もちろん、ジャーナルによっては本文だけでなく、見出し、図表、参考文献などについて細かな指定があるため、投稿前には最新の投稿規定を確認する必要があります。
それでも、スタイルを使って書式を管理しておくことで、修正作業を大幅に簡単にできる可能性があります。
Wordで論文を書くときに避けたい3つの方法
論文の書式を安定させるためには、次のような方法をできるだけ避けることも大切です。
① スペースでインデントを作る
スペースを何個も入力して文章の位置を調整すると、後から書式を変更したときに崩れやすくなります。
段落設定のインデントを使用しましょう。
② Tabキーを何度も押して位置を合わせる
Tabキーで文章の位置を調整する方法も、文書全体の書式管理には向いていません。
必要な場合は、Wordの段落やタブ設定を利用します。
③ 他の文書から書式ごとコピーする
別の論文やWordファイルから文章をコピーするときには、元の書式までコピーされないよう注意しましょう。
コピー&ペーストによって、
「この段落だけフォントが違う」
「この部分だけインデントが違う」
という問題が起こることがあります。
論文投稿前に確認したいWord書式チェックリスト
最後に、論文を投稿する前に、Wordの書式について確認しておきたい項目をまとめます。
論文のWord書式チェック
□ ジャーナルの最新の投稿規定を確認した
□ フォントが指定どおりになっている
□ フォントサイズが指定どおりになっている
□ 行間が指定どおりになっている
□ 1行目インデントが指定どおりになっている
□ 段落前後の間隔が適切になっている
□ 見出しの書式が統一されている
□ Figure legendの書式が統一されている
□ Table legendの書式が統一されている
□ Referencesの書式が指定どおりになっている
□ スペースやTabによる不自然な字下げがない
□ コピー&ペーストによる書式の乱れがない
すべてを毎回手作業で確認するのではなく、スタイルを利用して最初から書式を統一しておくことが、論文作成を効率化するポイントです。
Wordの書式だけでなく「投稿規定」そのものも確認しよう
Wordのスタイルを使えば、インデントやフォント、行間などの書式を効率的に管理できます。
しかし、論文投稿で確認しなければならないのはWordの見た目だけではありません。
例えば、
- Abstractの文字数
- Keywordsの数
- 論文の構成
- FigureやTableの提出方法
- Supplementary material
- Referencesの形式
- Cover letter
- 投稿システムへのファイルアップロード
- 各種申告事項
など、ジャーナルによってさまざまなルールがあります。
つまり、
「Wordの見た目を投稿規定に合わせた」=「投稿準備がすべて完了した」
というわけではありません。
特に、投稿規定を確認する際には、現在の最新のInstruction for Authorsを確認することが重要です。
古い論文や以前投稿したときのWordファイルをそのまま使うと、現在の投稿規定と異なっている可能性があります。
投稿規定に合わせたフォーマット調整が大変なら
ここまで紹介したように、Wordの「スタイル」を利用すれば、インデントやフォント、行間などを効率的に管理できます。
しかし、実際の投稿規定は、それほど単純ではありません。
例えば、
「タイトルページの形式が指定されている」
「Abstractに文字数制限がある」
「特定のセクションを追加する必要がある」
「ページ番号や行番号を指定する必要がある」
「Tableの形式が細かく指定されている」
「Referencesやin-text citationの形式が指定されている」
など、ジャーナルによってさまざまなルールがあります。
こうした細かな指定を一つずつ確認し、自分でWordを修正していくのは、論文執筆そのものとは別の作業であり、意外と時間がかかります。
そんなときに利用できるのが、NAIの「フォーマット調整―極(きわみ)」です。
NAIの「フォーマット調整―極(きわみ)」なら、投稿規定に合わせて原稿を調整
NAIの「フォーマット調整―極(きわみ)」は、他社で校閲された原稿や、英文校閲が必要ない原稿について、投稿先ジャーナルの規定に合わせてフォーマットを調整するサービスです。
例えば、
- タイトルページのフォーマット
- フォント・フォントサイズ
- 行間
- 余白
- ページ番号・行番号
- タイトル、抄録、要旨、Highlightsなどの字数調整
- セクションの追加・削減
- Reference list
- in-text citation
- Subtitleの形式
- Tableのフォーマット
など、ジャーナルが指定する細かなフォーマットについて対応しています。
また、単に「見た目を整える」だけではなく、投稿規定に合わせて必要なセクションが不足していないか、字数制限に対応できているかなども確認できます。
「自分でWordのスタイルを設定してみたけれど、投稿規定に合っているか自信がない」
「投稿規定が細かすぎて、自分で全部確認するのが大変」
という場合には、こうしたフォーマット調整サービスを利用するのも一つの方法です。
英文校閲と一緒に投稿規定も確認したい場合は?
英文校閲を依頼する際に、投稿先ジャーナルの規定まで確認してほしい場合には、NAIの「投稿規程チェック」「フォーマット調整」オプションも利用できます。
投稿規程チェックでは、ジャーナルが要求しているセクション、フォントやフォントサイズ、ワード数、Referencesの記載形式などが投稿規定を満たしているかを確認します。
さらにフォーマット調整では、投稿規程チェックに加えて、タイトルページ、フォント、行間、余白、ページ・行番号など、原稿そのもののフォーマットを調整できます。
つまり、
「自分でWordのスタイルを使って整える」
という方法と、
「ジャーナルの投稿規定に合わせたフォーマット調整を専門サービスに依頼する」
という方法を、状況に応じて使い分けることができます。
まとめ:論文の書式は「毎回直す」のではなく「最初に設定する」
論文のインデントや行間、フォントなどが毎回ずれてしまう場合、文章を書くたびに個別に書式を修正する方法は効率的とはいえません。
Wordの「スタイル」機能を利用すれば、
- 本文
- 見出し
- Figure legend
- Table legend
- References
など、それぞれの書式をまとめて管理できます。
特に、
「スペースやTabで見た目を合わせる」のではなく、「Wordの段落設定とスタイルで書式を管理する」
ことがポイントです。
さらに、よく投稿するジャーナルについては、投稿規定に合わせたWordテンプレートを作っておけば、次回以降の論文作成にも活用できます。
一方で、ジャーナルの投稿規定が細かく、Wordの設定だけでは対応しきれない場合もあります。
そんなときは、投稿規定の確認からフォーマットの調整まで専門サービスに任せるという方法もあります。
論文作成で毎回インデントや行間を直しているなら、まずはWordのスタイル機能を活用してみてください。
そして、投稿直前になって、
「このジャーナルの規定、本当に全部満たしている?」
と不安になったら、NAIの「フォーマット調整―極(きわみ)」や「フォーマット調整」もご検討ください。
論文の内容だけでなく、「投稿できる形に仕上げる」ことまで含めて、論文投稿をサポートします。
