「英文校閲を依頼したいけれど、どの会社を選べばよいのか分からない」

英語論文を投稿する研究者にとって、英文校閲会社選びは悩ましい問題の一つです。

インターネットで「論文 英文校閲」「論文 英文校正」などと検索すると、多くのサービスが見つかります。しかし、料金や納期だけを比較して選んでしまうと、「思っていたより修正が少なかった」「専門用語について十分に確認してもらえなかった」など、サービス内容とのミスマッチが起こる可能性があります。

では、論文校閲会社を選ぶ際には、どのような点を確認すればよいのでしょうか。

この記事では、Springer NatureやTaylor & Francisなどの学術出版社が提供している著者向け情報を参考に、論文校閲会社を選ぶ際に確認したい10のチェックポイントを紹介します。


1.自分の専門分野に対応できる校閲者がいるか

論文の英文校閲では、英語として自然な文章にするだけでなく、研究分野特有の用語や表現を適切に扱うことも重要です。

Springer Natureでは、研究文書を専門分野に対応した編集者が担当することを案内しています。また、専門分野の知識を持つ編集者によるLanguage EditingやScientific Editingを提供しています。

そのため、校閲会社を選ぶ際には、

「ネイティブが校閲するか」だけではなく、「自分の研究分野に対応できる校閲者がいるか」

を確認することが重要です。

参考:
https://authorservices.springernature.com/language-editing/


2.校閲者の学術的なバックグラウンドを確認できるか

次に確認したいのが、校閲者自身の学術的なバックグラウンドです。

論文の校閲では、一般的な英文校正とは異なり、学術論文特有の表現や専門用語を扱う必要があります。

Springer Natureでは、Subject Expert Editorについて、Master's、PhD、MDなどの学位を取得または取得中であり、大学や研究機関に所属し、編集トレーニングを受け、継続的に品質レビューを受けていると説明しています。

このような情報を公開しているかどうかは、校閲会社を比較する際の一つの判断材料になります。

参考:
https://authorservices.springernature.com/language-editing/


3.「文法チェック」だけなのか、どこまで対応するのか

「英文校閲」といっても、実際の作業範囲は会社によって異なります。

例えばTaylor & Francisでは、English Language Editingだけでなく、Scientific Editing、Manuscript Formatting、Similarity Review Report、Pre-Submission Expert Reviewなど、目的に応じた複数のサービスを提供しています。

そのため、依頼前には、

  • 文法・スペルだけを確認してほしい
  • 自然な英語にしたい
  • 学術的な表現を確認してほしい
  • 論文全体の文章の流れも確認してほしい
  • 投稿前に原稿全体をチェックしてほしい

など、自分が必要としているサポートを整理することが重要です。

参考:
https://authorservices.taylorandfrancis.com/publishing-your-research/writing-your-paper/editing-services-improve-your-manuscript/


4.投稿予定ジャーナルの規定に対応できるか

英文がきれいになっただけでは、論文投稿の準備が完了したとは限りません。

ジャーナルごとに、

  • 必要なセクション
  • フォント
  • ワード数
  • References
  • 図表
  • タイトルページ
  • 引用形式

などの投稿規程が設定されています。

Springer Natureでは、Manuscript Formattingサービスにおいて、投稿先ジャーナルの要件に合わせて、レイアウト、タイトルページ、見出し、引用、References、図の配置、ワード数などを確認すると説明しています。

Taylor & Francisも、投稿前に原稿の構成や図表などが対象ジャーナルの要件に適合しているか確認することを案内しています。

したがって、校閲会社を選ぶ際には、英文だけでなく投稿規程にも対応できるかを確認しておくとよいでしょう。

参考:
https://authorservices.springernature.com/go/springer/ 

https://authorservices.taylorandfrancis.com/researcher-services/preparing-your-article-for-submission/


5.修正内容を著者自身が確認できるか

校閲会社に論文を預ける場合、完成した英文だけでなく、どこをどのように修正したのかを確認できることも重要です。

論文の内容について最終的な責任を持つのは著者です。

そのため、校閲会社を選ぶ際には、「修正された文章が返ってくるか」だけでなく、

「修正内容を著者が確認できるか」

も確認しておきましょう。

例えば、変更履歴やコメントなどによって修正箇所を確認できれば、著者自身が修正内容を確認したうえで採用するかどうかを判断できます。

Springer Natureでも、編集サンプルに変更履歴や編集者のコメントを表示する仕組みが案内されています。

参考:
https://authorservices.springernature.com/english-language-editing/


6.校閲者に質問・確認できる仕組みがあるか

論文では、単に英語として正しいかどうかだけではなく、著者が意図した意味が正確に伝わっているかが重要です。

そのため、校閲者が原稿内容について疑問を持った場合に、著者へ確認できる仕組みがあるかどうかも確認したいポイントです。

特に、専門用語や研究結果の解釈などについて、校閲者が推測だけで修正してしまうのではなく、著者に確認できる仕組みがあると安心です。

校閲会社を選ぶ際には、単に「校閲後の原稿が返ってくる」だけでなく、著者と校閲者の間で確認や質問ができるかもチェックしてみましょう。


7.再校閲などのアフターサポートがあるか

初回の校閲が終わった後に、

「この修正について確認したい」

「この表現は研究内容と少し違う」

「校閲者のコメントについて質問したい」

というケースもあります。

そのため、納品後にどのようなサポートが受けられるのかを確認しておくことも大切です。

Springer Natureでは、一定の条件のもと、英語のみを理由としてジャーナルからリジェクトされた場合に再編集を行うQuality Guaranteeを案内しています。

また、現在のSpringer NatureのGold Language Editingには、一定期間の再編集サービスも含まれています。

このように、初回納品だけでなく、納品後のサポートがどこまで含まれているのかを確認するとよいでしょう。

参考:
https://authorservices.springernature.com/language-editing/

https://authorservices.springernature.com/pricing


8.投稿前後のサポートにも対応しているか

論文投稿では、英文校閲だけでなく、

  • 投稿規程チェック
  • フォーマット調整
  • カバーレター
  • 査読者への回答
  • Similarity Check
  • 投稿前の原稿チェック

などが必要になる場合があります。

Taylor & Francisでは、English Language Editingだけでなく、Scientific Editing、Manuscript Formatting、Similarity Review Report、Pre-Submission Expert Reviewなどを提供しています。

また、投稿前の原稿について、構成、文法、専門的な表現、技術的な内容などを確認するサービスも案内されています。

英文校閲を依頼する際には、論文のどの段階までサポートしてもらいたいのかを考えておくことも重要です。

参考:
https://authorservices.taylorandfrancis.com/blog/uncategorized/use-a-trusted-editing-service-to-help-you-get-published/ 

https://authorservices.taylorandfrancis.com/researcher-services/preparing-your-article-for-submission/


9.料金だけでなく「何が含まれているか」を比較できるか

英文校閲会社を比較するとき、料金はもちろん重要です。

しかし、「1ワード○円」という価格だけで比較するのはおすすめできません。

同じ「英文校閲」でも、

  • 文法・スペルのみ
  • 語彙・表現まで確認
  • 専門分野を考慮
  • 論文全体の明瞭性を確認
  • コメントを付ける
  • 再校閲がある
  • 投稿規程を確認する

など、サービス内容が異なるためです。

Springer Natureでも、SilverとGoldという異なるレベルのLanguage Editingを用意し、Goldでは文章の流れやスタイルに加えて、編集内容のサマリーや再編集などを提供しています。

したがって、料金を比較するときには、

「いくらかかるか」だけでなく、「その料金で何をしてもらえるのか」

を見ることが重要です。

参考:
https://authorservices.springernature.com/pricing/


10.AIや原稿の取り扱いについて確認できるか

近年、生成AIを論文作成や英文修正に利用する研究者も増えています。

一方で、未発表の研究データや原稿をAIツールに入力する場合には、データセキュリティや機密性について注意が必要です。

Taylor & Francisは、研究にAIツールを利用する際、データセキュリティ、機密性、著作権保護について高い基準を満たすツールを使用すること、また第三者AIツールを利用する場合には、入力・出力データがAIのトレーニングに利用されないことを確認するよう案内しています。

そのため、校閲会社を選ぶ際にも、

  • AIを校閲工程で使用するのか
  • 原稿をどのように扱うのか
  • AIサービスに原稿を入力する可能性があるのか
  • 原稿の機密性についてどのような方針を持っているのか

を事前に確認しておくとよいでしょう。

参考:
https://authorservices.taylorandfrancis.com/publishing-your-research/writing-your-paper/


NAIは10のチェックポイントを満たしている?

ここまで、学術出版社などが公開している著者向け情報を参考に、論文校閲会社を選ぶ際の10のチェックポイントを紹介しました。

では、これらのポイントについて、エヌ・エイ・アイ株式会社(NAI)のサービスではどのように対応しているのでしょうか。

以下は、NAIが公式サイトで公開しているサービス内容をもとに整理したものです。

チェックポイントNAIの対応判定
1.専門分野への対応カジュアル校正を除く主要な校閲サービスでは、原則としてPh.D.保持者が対応。原稿の専門性や状態も考慮して校閲者を選定○
2.校閲者の学術的バックグラウンドPh.D.保持者を中心に、研究者・査読者・ジャーナルエディターなどの経験を持つ校閲者が在籍○
3.校閲の対応範囲カジュアル校正、プレミアム校閲、プレミアムEX校閲、フルチェンジリライト、類似性削減校閲など、目的に応じたサービスを提供○
4.投稿規程への対応Instruction for Authorsに基づく投稿規程チェックや、投稿規程に合わせたフォーマット調整に対応○
5.修正内容の確認校閲箇所や校閲者からの質問事項などを確認できる仕組みを提供○
6.校閲者への質問・確認校閲者からの質問事項を確認し、著者からの回答を踏まえて再校閲する仕組みに対応○
7.再校閲・アフターサポートサービスに応じて再校閲・再々校閲などに対応○
8.投稿前後のサポート投稿規程チェック、フォーマット調整、カバーレター、レスポンスレターなどの投稿関連サービスを提供○
9.サービス内容と料金原稿の目的や状態に応じて複数の校閲サービス・オプションを用意○
10.AI・原稿の取り扱いAIを使用して作成・校正された原稿にも対応し、AI依存度低減校閲などのサービスを提供○

※「○」は、NAI公式サイトで各項目への対応内容が確認できることを示しています。サービスによって対応範囲や条件が異なる場合があります。

NAIでは、例えば投稿規程チェックについて、必要なセクション、フォント、ワード数、Referencesなどを確認するサービスを提供しています。また、フォーマット調整では、タイトルページ、フォント、行間、余白、ページ・行番号、Tableなどについて投稿規程に合わせた調整を行っています。

英文校閲・校正オプションサービス

英語論文のトータルサポートNAI(エヌ・エイ・アイ)では、英語論文の校閲・校正、翻訳に加え、投稿規程のチェックやフォーマット調整、校閲証明書の発行、カバーレターの作…

また、レスポンスレターについても、本文原稿と照らし合わせながら校閲するサービスや、査読者への返答を可能な限り代理作成するサービスを提供しています。

査読者への返信レター(レスポンスレター)への対応

査読者への返答レター(Response Letter/レスポンスレター)作成の苦しみを共にわかちあうことができるNAIの新サービスを紹介しています。

AI関連では、AI依存度低減校閲において、iThenticateによる分析と専門エディターによる校閲を組み合わせ、AI生成特有の表現、論理展開、一貫性、読みやすさなどを確認しています。

AI依存度低減校閲

NAIが自信を持って提供する、iThenticateのレポートを用いた類似性削減・AI依存度低減とNAIの校閲・校正を同時に行う校閲・校正サービスの紹介ページです。

このように、NAIでは「英文の文法・スペルを直す」という基本的な校正だけでなく、専門性、投稿規程、再校閲、投稿関連サービス、AI時代の論文サポートまで、複数のサービスを用意しています。


まとめ:論文校閲会社は「料金」だけで選ばない

論文校閲会社を選ぶ際には、単純に「安いか」「納期が早いか」だけを見るのではなく、自分の論文に必要なサポートを受けられるかを確認することが大切です。

今回紹介した10のチェックポイントを、あらためてまとめると以下のとおりです。

  1. 自分の専門分野に対応できる校閲者がいるか
  2. 校閲者の学術的なバックグラウンドを確認できるか
  3. どこまで校閲してくれるのか明確か
  4. 投稿先ジャーナルの規定に対応できるか
  5. 修正内容を著者自身が確認できるか
  6. 校閲者に質問・確認できる仕組みがあるか
  7. 再校閲などのアフターサポートがあるか
  8. 投稿前後のサポートにも対応しているか
  9. 料金だけでなく、サービス内容を比較できるか
  10. AIや原稿の取り扱いについて確認できるか

もちろん、すべての研究者に同じサービスが必要というわけではありません。

「文法やスペルだけ確認してほしい」という場合には、シンプルな校正で十分なこともあります。

一方で、

「専門的な表現まで確認してほしい」

「投稿規程も確認したい」

「投稿前の原稿全体をチェックしたい」

「査読後のResponse Letterについても相談したい」

という場合には、より幅広いサポートが必要になるでしょう。

大切なのは、まず自分の論文に何が必要なのかを整理することです。

そのうえで、

「誰が校閲するのか」
「何をしてくれるのか」
「どこまでサポートしてくれるのか」

を確認すると、自分の目的に合った論文校閲会社を選びやすくなります。

英文校閲を依頼するときは、料金だけでなく、校閲者の専門性、サービスの内容、投稿前後のサポート、そしてAIや原稿の取り扱いまで確認してみてはいかがでしょうか。