査読対応で差がつく「レスポンスレター」の書き方 ― 現場で見えてきた、よくある失敗とちょっとしたコツ

こんにちは。論文サポート部門でございます。

日々、研究者の皆様から論文に関するご相談をいただいておりますが、その中でも特に多いのが「査読コメントへの対応」に関するご相談です。

論文を投稿してから無事にアクセプト(採択)されるまでの道のりは、思っている以上に長く、そして険しいものです。一発で「修正なし採択(Accept as is)」となる論文は、正直に申し上げて、かなり稀です。長年この仕事をしておりますが、本当に滅多にお目にかかれません。ほとんどの場合は、「Minor Revision」あるいは「Major Revision」という形で、査読者(Reviewer)からコメントが返ってきます。

そして、そのコメントを開いた瞬間、

「うわぁ……どこから手をつけよう」
「これ、どう答えるのが正解なんだろう?」
「英語でどう書けば失礼にならないんだろう?」

と頭を抱えてしまう研究者の方は、決して少なくありません。むしろ、ほぼ全員が一度は通る道だと思います。

査読コメントへの対応は、論文本文を直すだけでは終わりません。査読者へ宛てた回答書、すなわち「レスポンスレター(Response Letter)」の作成が、実は非常に重要なのです。

研究内容そのものは高く評価されていても、レスポンスレターの内容が不十分だったり、意図が伝わらなかったりすると、再度同じ箇所を指摘されてしまったり、最悪の場合、印象が悪くなってしまうこともあります。せっかく良い研究をされているのに、もったいない話です。

そこで今回は、私たちが日々サポートする中で感じている、レスポンスレター作成のポイントと、実際によく見られる失敗例をご紹介したいと思います。


レスポンスレターとは?

レスポンスレターとは、査読者から寄せられたコメント一つひとつに対して、著者がどのように受け止め、どのように対応したかを説明する文書です。

「修正しました」と一言伝えるだけの書類ではありません。具体的には、以下の点を明確に記載する必要があります。

  • 指摘内容をどのように理解した
  • どのような修正を行った
  • 修正した箇所は本文のどこにあるか(ページ番号や行番号まで示すのが望ましい)
  • もし修正しなかった場合は、なぜそうしたのか、その理由と根拠

査読者はレスポンスレターを通じて、著者が自分のコメントを真摯に受け止めているか、研究を深く理解した上で対応しているか、を見ています。言い換えると、レスポンスレターは「研究者としての姿勢」がにじみ出てしまう書類でもあるのです。


レスポンスレター作成で避けたいポイント

ここからは、私たちが実際にサポート現場で「あぁ、これはもったいないな」と感じる典型的なパターンをご紹介します。

① 回答が簡潔すぎる

たとえば、こんな回答です。

We revised the manuscript.

これだけだと、どこをどのように直したのか、査読者にはまったく伝わりません。査読者は再度論文全体を読み返して、「どこが変わったのか」を探さなければならず、大きな負担になります。正直なところ、これは査読者の心証としてもあまりよくありません。

より望ましいのは、こんな書き方です。

We have added a detailed description of the statistical analysis in the Methods section (Page 5, Lines 120–130).

**「何を」「どこに」「どう書き加えたか」**まで具体的に書く。たったこれだけのことですが、査読者の負担は劇的に減りますし、「丁寧に対応してくれているな」という印象も伝わります。

② 感情的な反論をしてしまう

これは、お気持ちはとてもよく分かるのですが......。

査読コメントの中には、正直「えっ、ちゃんと読んでくれた?」と言いたくなるものも、確かに存在します。私たちもサポートをしていて、思わず眉をひそめてしまうコメントに出会うことがあります。

しかし、

The reviewer misunderstood our study.

のような書き方は避けたほうが無難です。たとえ本当に査読者が誤解していたとしても、こうした表現は喧嘩腰に受け取られかねません。

反論する場合でも、

We appreciate the reviewer's comment. We would like to clarify that ...

のように、感謝の言葉を添えつつ、客観的な根拠(データ、先行研究、本文の該当箇所など)を示しながら、丁寧かつ論理的に説明することが大切です。査読は、敵対関係ではなく、論文をより良くするための共同作業だと捉えると、文章のトーンも自然と整ってきます。

③ 回答内容と論文本文が一致していない

これは、実務上もっともよく目にするケースかもしれません。

レスポンスレターには「修正しました」とハッキリ書かれているのに、本文を確認すると修正が反映されていなかったり、別の箇所だけが直っていたり……ということがあるのです。

ご本人としては修正したつもりでも、別バージョンのファイルを提出してしまった、というケースも実際にあります。

査読者は、レスポンスレターと本文を並べて照らし合わせながら確認します。ここに不一致があると、「本当にちゃんと直したのかな?」と疑念を持たれ、再度指摘を受ける可能性が高くなります。提出前に、レスポンスレターに書いた内容と本文をもう一度突き合わせて確認することを、強くおすすめします。

④ 査読者の提案と修正内容が一致していない

NAIにご相談いただくお客様の中でも、意外と多いのがこのパターンです。

査読者が指摘している論点と、著者が修正した内容が微妙にズレているのです。たとえば、査読者は「サンプルサイズの妥当性」について疑問を呈しているのに、著者は「統計手法の説明」を厚くして回答してしまう、というような行き違いです。

特に英語に慣れていない著者の方の場合、査読コメント自体の解釈を少し取り違えてしまうケースも稀に見られます。コメントの英語のニュアンス("could you clarify" は単なる疑問ではなく実質的な修正要求であることが多い、など)を読み解くのは、想像以上に難しいものです。

このようなボタンの掛け違いがあると、査読者から再び「私の質問はそこではなく……」と指摘を受けてしまい、リビジョンの回数が増えてしまいます。


レスポンスレターは、想像以上に時間がかかる

査読コメントが2〜3件程度であれば、比較的対応しやすいかもしれません。

しかし、

  • 査読者が2〜3名いる
  • それぞれから10件以上のコメントが来ている
  • すべて英文で回答しなければならない

となると、話はまったく変わってきます。コメントを整理し、論点ごとに分類し、本文修正と整合性を取り、そして自然な英文に仕上げる―この一連の作業には、本当に多くの時間とエネルギーが必要です。

研究者の方からは、

「査読者コメントを読み解くだけで、丸一日かかりました」
「正直、論文を修正するより、レスポンスレターを書く方が大変でした」
「英語のニュアンスに自信が持てなくて、何度も書き直してしまって……」

といったお声を本当によく伺います。査読対応で疲弊してしまい、肝心の研究時間が削られてしまう、というのは、研究者の方にとって何とも本末転倒な状況です。


NAIの「レスポンスレター限界まで代理作成サービス」

そうしたお悩みに少しでもお応えしたいという思いから、NAIでは「レスポンスレター限界まで代理作成サービス」をご提供しています。

その名のとおり、研究者の皆様に代わって、できる限りの部分までレスポンスレターを作成するサービスです。

  • 査読コメントの整理・分類
  • 各コメントに対する回答文案の作成
  • 英文化および表現のブラッシュアップ
  • 用語の軽微な修正等を本文内に反映することも可能

査読者の意図を正確に読み取り、論文本文との整合性を確認しながら作成しますので、研究者の方の負担を大幅に軽減できます。「ここから先は、自分の研究の言葉で答えたい」という部分だけ著者ご自身に書いていただき、それ以外をこちらでお引き受けする、という使い方をされる方も多くいらっしゃいます。


まとめ

レスポンスレターは、査読者との大切なコミュニケーションツールです。

少し大げさに聞こえるかもしれませんが、レスポンスレターの書き方一つで、研究内容そのもの以上に「著者の姿勢」や「論文への理解度」が伝わってしまうことすらあります。逆に言えば、丁寧で誠実なレスポンスレターは、リビジョンを乗り越えてアクセプトへたどり着くための、強力な味方になってくれるのです。

査読対応に不安を感じるとき、英文での回答に自信が持てないとき、あるいは単純に時間が足りないとき――どうか一人で抱え込まず、専門のサポートを活用するという選択肢も、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。

論文採択というゴールに向けて、本文だけでなく、レスポンスレターの品質にもぜひ目を向けてみてくださいね。皆様の研究が、よりスムーズに世に出ていくことを、心から願っております。

レスポンスレター限界まで代理作成サービスを含む「査読者への返信レター(レスポンスレター)への対応」ページへ
https://www.nai.co.jp/response-letter/
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